悲しくてやりきれない。

 また、大変に今更ながら、
 昨今の話題作をようやく鑑賞する。


 『この世界の片隅に』。
 昨年初冬静かに公開されて後、『シン・ゴジラ』も『君の名は。』もぶっちぎって話題と各賞をかっさらったアニメ映画。
 近隣においては、詳述はしないがちょっとしたご縁も出来ての配給である。


 ご覧になった方も多かろうとは思うし今更感想などおこがましくもあるが。
 「絵が好きで少々夢見がちな女の子が戦前から戦後に及ぶ圧倒的な現実に晒される」という、ただそれだけのことを丁寧に丁寧に描いた作品だった。
 戦争と言うあまりにマクロマティックな事象の元で、ささやかな個人の主観だけが虚実入り混じりながらも淡々と流れてゆく。
 そうすることで、「片隅から見た世界の形」を逆説的に表現する、そのことに腐心した画面だったと思う。


 足りないものはあまりにも多くて。
 無くなってゆくものもさらに多いのだけれど。

 あるものをかき集め、
 残ったものをつなぎ合わせて、そうやって続いてゆく。

 逞しいと表現するには聊か危なっかしいけれど、それでも生きてゆく。

 その様がどうしようもなく愛おしく、見る人の心をとらえるのだろう。

 同じく広島を舞台とした『はだしのゲン』が作中で言われるような「踏まれてもなお伸びる麦」の物語としたら、
 こちらは「風に乗るタンポポの綿毛」のような、そんな物語。

 そんな、何とも表現しがたい気分にさせられる鑑賞感なのだった。
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