喉元の刃。

 「朝(あした)に紅顔ありて夕に白骨となる」という言葉がある。
 元気に過ごすその日のうちに物言わぬ骸と化すなんて珍しくもなんともない、という警句だ。

 ―今現在とは聊か時代環境の異なる言葉ではあるが。
 実質そんなに事情が変わっているわけでもないんじゃないかとも思う。

 人が死ぬ要因なんて、そこら辺にいくらでも転がっているのは昔も今も変わらないのだから。


 死は訪れるものではない。
 待ち構えているものでもない。
 常に後ろを付いて歩いているものなのだ。

 備えることも心掛けることも実は難しいのだけれど。
 常に死の影におびえていては何も出来ないのだけれど。

 それでも背後の死は、何かの機会あらばいともあっさりとその人の生命を召し上げる。


 ただ、そういうもの。
 そういう風に割り切らなければ、死の悲哀に満ち満ちた世の中なんて渡ってゆけない。
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