―ひねもすのたり、と言うには少々波高き春の日本海。
晴朗なる連休中日。家に引き篭もる手はないとばかりに少々遠出をしてきたぞ。
行き先は兵庫県北部の山陰海岸部。
海沿いまで斜面が迫り、小さな入江が幾つも連なって漁村の浦となった地形のこの地方。
日本海の荒波は様々な奇観を形作っている。例えば―
「―へぇ。“天然記念物・はさかり岩”だってよ」
「はぁ?なんじゃそりゃ?何か挟まってるのか?」 (※はさかる=挟まると言う意味の方言)
「はっはっは。そんなアホなことあるかい」
「そんな・・・・・・・」
!?
「「マジだったぁ~~~~~~~~~~っ!!」」
「・・・こ、こんどは“奇観・かえる島”なんて出てるぞ?
「・・・ま、まさかな。まさか・・・」
あ。
「カエルだ!」
「明らかにカエルだぁ!!」
てな感じで。のっけから妙なテンションになってゆく今回の小旅行。
真の目的地は実は此処だったのだ。
山陰本線の巨大鉄橋、餘部橋梁。
以前も少しだけ触れたことがある、明治45年設立以来百年近い歴史をもつ全高41mにも及ぶ天空の架け橋である。
老朽化が進み、新しいコンクリ橋が建造され来年には取り壊されると言うので。
それまでに一度は見ておきたいと赴いたのだ。
入江の小さな集落を一跨ぎ。長らく無言で人々の営みを見下ろしてきたこの鉄橋。お役御免は何とも寂しい。
取り壊しても記念に橋桁の三基くらいは残しておく、と言う計画になっているらしい。
地元の人々の感慨も一入であろう、と思ったが・・・
「危ないので完全に撤去して欲しい」というのが地元民の大方の意見なんだそうである・・・
まぁ、ここに住み着いている人にしてはそんなもんなのだろうけれど・・・何か切ないなぁ。余所者の感傷に過ぎないとはいえ。
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