暑さ寒さも彼岸までとは言うものの。真夏並みに暑いのも困り者。
それでも週の中頃には魔導書が開かれる。
「
おねがいソロモンせんせい!!」
第六十七回:
フルカロス(
Furcalos)
フォカロルとも。30の軍団を統率する地獄の偉大なる公爵。序列は41。召喚するとグリフォンの翼を持つ男の姿で現れる。その身体は鱗で覆われ、髪は濡れた海草のようだという。水に関係する力を秘めた「水域の公爵」。
海を支配する公爵であり、同時に水を凶器とする恐るべき殺人者でもある。人を溺れさせ、軍艦を転覆させ、幾多の命を海の藻屑と変えることを得意とする。水難の危険性を具象したような魔神ではあるが、命じられれば勝手に人間を溺死させるようなことはしないとされる。
元は座天使の群の中にあり、その地位を取り戻すことを切望するフルカロスは、人間に命令されることを快しとしない。だが、一方で召喚者が真に望むことを命令すると必ず従うと言われる。 人間にもたらされる様々な災難から身を守る手段として、逆にその災難をもたらす霊的存在を奉るというのは世界中で古くから見られるやり方。ネパールの病魔カワンチャ然り。バリの神獣バロン然り。一切の「悪」から人を守る絶対的な神仏が現れる以前の、災厄と折り合いをつけるような考え方が元になっていると言えるかも知れない。恐ろしいけれど、共にこの世界で生きてゆく隣人には違いない。何というか、懐の広さを覗える考え方だ。
惜しみなく人命を奪う水難。だが頼めば人を死なせることは控えてくれる悪魔。悪魔の使役というのには、悪疫をコントロールするという側面もあるのかも知れない。
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